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「好きな生きもの極めたら、めっちゃ面白いで。」森と水の源流館/コケ研究者 木村全邦さん

<高校生による高校生のためのコラムVo.7>

はじめまして。岡本輝起(おかもとてるき)と申します。18歳です。高校生活をとおして、人生に悩みに悩みまくり、今も悩んでいます。

「特にやりたいこともない僕が、どうして大学に行こうとしてるのか」

「いい大学に行っていい会社に入って、その人生ってホントに楽しいのか」

学校という世界からは見えない、色んな生き方が身近にあるのではないか。魅力的な大人たちの仕事や暮らしに出会いたくて、Kiiのインターン(ライター見習い)になりました。

高校生による高校生のためのコラム「高校生よ、はたらいてもいいんだよ。」Vo.7です。

「好きな生きもの研究したら、めっちゃ面白いで。」森と水の源流館/コケ研究者 木村全邦さん

(ライター:岡本輝起 編集:大越元/Kii編集長)

「自分の好きなことを仕事にしたい。」

「でも、それだとお金が稼げない。普通の生活ができない。」

このジレンマに悩む高校生へ。進路を決める一つの判断材料として、この記事を読んでいただければ幸いです。

「好きなことを仕事にする」ことは、むずかしい?

それまでにどんな道を歩むのか?

奈良県・川上村の「森と水の源流館」ではたらくコケの研究者、木村全邦さん(45)に話をうかがいました。

<コケの研究者になるまで>

小さい頃から、コケを仕事にしようと思っていたんですか?

    いや、小学生の頃は昆虫少年やってん。

たまたま自然を伝える番組を見て。「自然が壊されている」って言われてた。そのときかな。漠然と「自然を守るような仕事がしたい」って思ったのは。

なるほど。いつ頃からコケを専門に扱うようになったんですか?

    中学と高校の6年間は、自然には目もくれてられへんような、勉強に集中しないとやばい状況が続いて。僕の年代って、受験戦争が一番きつい時だったから。方向としては「生きものについて学びたい」っていうのは相変わらずあったので、大学は理学部に行きました。

「大学で卒論書いたら、そこそこ生きもののことがわかるだろう」って思ってたけど、甘かった。4年くらいじゃわかりまへん(笑)。

悔しかったし、これでやめてしまうなら大学行った意味がないなあと思った。

当時はコケの名前が区別できるような若い人はいなかったから、自分がコケを極めたら仕事にできるかもしれへん。そう思って、コケの研究を始めました。

大学院で、ですか?

    ううん。僕もあんまりお金がなかったもんで、大学院には行かなかったよ。でも先生が「研究室自由に使っていいよ」とおっしゃってくれたので。バイトしながら、研究室にずっと居候(いそうろう)してた。

研究を続けてどれくらい経って、仕事になったんですか?

    3年くらいやって、なんとかわかり始めたんやね。声がちょこちょこかかるようになってきて。大阪の自然史博物館で5年ほどはたらきました。

その間に川上村が森を買って。「森の苔を調べてください」という話になって、ここに来ることができました。

奈良県のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の情報を記載した本)も書いて。植物の絵本の翻訳もして、自然のことをきちんと考えていく人を増やすお手伝いをしました。

「自然を守りたい」って、小学生のときに思ったことが、ちゃんとできてるわけよ。

小学生の頃の思いを実現するのは、長くて大変な道でしたか?

    紆余曲折はしたよ。でも気づいたことがあって。

「これをやる」って決めて頑張っていると、いろんな人が助けてくれます。これは間違いないです。

<その世界で1番になれば、仕事はある>

好きなことを仕事にするためのポイントを教えてください。

    コケの世界に限らず、マイナーな分野では仕事の量が少ない。つまり、社会が求める仕事に対して、そんなに多くの人数はいらないわけよ。だから競争率が高くなる。これが、好きなことを仕事にするのが難しい理由です。

ただ、その世界で1番になれば必ず仕事はある。どんな分野でも、まったく需要がないってことはないからね。

とはいえお金がかかることも多いし、資金はちゃんと見ていかんなあかん。一度その世界に興味持ったら飛び込んで、あかんかったら次!でいいと思う。コケの世界は合わないからシダの世界に行って、きちんと就職できた人もいるし。研究者になれなくても学校の先生とか、新聞記者に転向した人もいる。

最初に決めたことをやり通さなきゃいけないってことではないんですよね。

    いろんな寄り道することはいいことやと思う。よくないのは、迷いながら一つのところに留まること。

どの世界に行っても正解。目標を変えなければ、いろんなアプローチを試すべきやと思う。

最後に、「ある分野で1番になる」ことの意義は、就職以外にもありますか?

    単純に、自分が好きな生きものを突き詰めたら、めっちゃ面白いで。その生きものに関わること、なんでもできるよ。

めっちゃ面白そうです。話を聞かせていただき、ありがとうございました!

   いえいえ。ホンマは、山へ行ってコケを一緒に観に行くのがよろしいと思いますが。

えっ、いいんですか!ぜひよろしくお願いします!!

3/31日に、「コケを見ながら考える、私たちのはたらき方 / 高校生よ、はたらいてもいいんだよ。遠足オフ会」と題して、木村さんと一緒にコケ歩きのイベントを開催します。木村さんのお話をもっと伺いたい人は、上のアイコンからFacebookのイベントページにて「参加予定」をクリックお願いします!ご参加お待ちしております。

<「高校生よ、はたらいてもいいんだよ。」を一緒に書いてみませんか>

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問い合わせ内容・自己紹介

 

【木村全邦さんプロフィール】

1972年 大阪府出身

1991年 岡山理科大学理学部基礎理学科入学

学業そっちのけで山登りやキャンプなどの野外活動にはまる

1997年 同卒業後、西村直樹研究室に居候

2001年 大阪市立自然史博物館にて蘚苔類の収蔵標本を研究

2003年 川上村の購入した「吉野川源流‐水源地の森」の生物調査に参加

2005年 森と水の源流館に勤務

2012年 十和田湖・奥入瀬渓流蘚苔類観察会&研修会(奥入瀬モスプロジェクト)に協力

2013年 大阪府レッドリスト改訂委員会委員(~2014年)

奈良県レッドデータブック改訂植物分科会委員(~2017年)