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「もうしばらくいよう-地域おこし協力隊の任期を終えた今、思うこと-」 豊田宙也さん/尾鷲市九鬼町

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職場:網干場 担当:空き飲食店舗を活用した滞在拠点づくり

任期:2014/9〜2017/9

東京都練馬区から越してきた、豊田宙也さん。当時29歳の彼は、地域おこし協力隊に着任。20人ほどの町民とともに、空き家となっていた飲食店舗を改修。2015年5月に“網干場(あばば)”をオープンした。毎週土日のみ開店する食堂で、地魚料理を提供している。

2017年9月に協力隊の任期を終了。その後も九鬼町に住んで、網干場の新たな展開を模索しています。

<九鬼町に網干場がはじまるまで>

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網干場は、九鬼町民の声からはじまりました。江戸時代は、江戸と大阪間の船交易の中継拠点として栄えた。明治から昭和にかけては、リアス式の漁場が日本のブリ三大漁場に。一時期は3,000人が暮らしました。漁業を取り巻く環境が変化する中、一つ、また一つ灯りが消え。2005年には、とうとう全ての飲食店がシャッターを下ろした。

「外から来てもらっても、連れていくところがなくなってしもた」「家で過ごすことが増えた」「一人暮らしの老人が増えるから、そうざいをやってほしい」。

そうした住民の声を受け、豊田さんは、平日は町民向けの喫茶店。土日は、九鬼漁港で水揚げされた魚を提供する食堂をはじめた。食を通して、九鬼に集いを取り戻す取組みだ。

豊田さんに話を聞きました。

<網干場のはじまり>

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僕、魚を捌けなかったんですよ(笑)。町民の中にも、飲食店経験者が一人もいなくて。内装もメニューもすべて手探りでした。オープン日をゴールデンウィークに設定しましたから。今思うとありえない話です。

網干場は、席数30の小さな店。そこを、土日になると10人近い町民のみなさんと切り盛りしています。当然、飲食店としては成り立たないモデルです。じゃあ、網干場ってどういう場所なのか。

「九鬼町を訪れたからには、楽しんでほしい」「毎日を楽しく過ごしたい」という気持ちは、町民みんな、多かれ少なかれあると思うんです。そういう気持ちを、それぞれが、自発的に表せる場。

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木の扉を開けると、お父さんトリオが洗いものをしている姿が目に飛び込んできます。どうしてこうなったのか。

2016年4月にテレビ朝日の番組“人生の楽園”で紹介いただいたあと、お客さんがドドドッと押し寄せて。人口500人の九鬼町に、3時間待ちの行列ができたんです。たまたま通りがかった近所のお父さんが「大変やろ」。勝手口から入って、洗いものを手伝ってくれて。そのまま今に至ります。

カウンター席では、色んな会話が生まれます。繰り返し訪れるお客さんが、移住先を探していると聞いては「ご飯食べたら、空き家見に行く?」と集落内を案内することがあったり。一人で腰かけたら、きっと話しかけられますよ。「どこから来たん?」。

<帰ってこれる場所ができた>

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最近、九鬼町へ応募したときの履歴書を見かえしたら、顔がまるで子ども。九鬼ですっごい鍛えてもらったんです。

東京から九鬼町へ来た最初の夏のこと。地区のお祭りがあるんです。町に人が増えて、帰省した人たちがわーっと歌って、どーっと寝る姿が、すごくうらやましくて。僕も、何があっても帰ってこれる場所がほしいと思った。九鬼になじむよう、自分なりに努力して。今は、ここが自分の根拠地。

来た当初は、将来を決めていなかったんです。3年間の地域おこし協力隊の任期が終わるとき、もうしばらくいようと思いました。さらに5年、10年、30年後はわからないけど。2014年に九鬼へ来てよかった。この先も、この東紀州とは関わりつづけると思います。

<網干場の、自分のこれから>

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10月以降も網干場は続けていきます。これまでは、地域おこし協力隊の事業だからこそ、家賃も水道光熱費もかからず、続けることができました。今は土日のランチと、水〜金の喫茶店を続けつつ、仲間と新しい展開も考えています。

協力隊の任期が終わって、どこか気が抜けた感じもあります。今後は、地域おこしというテーマを持ちつつも、自分の暮らしについても、より考えていきたい。

あのー、僕は今も“移住”という言葉がしっくり来ていなくて。東京都内でいえば、中野区から品川区へ引っ越したような感覚なんです。

この間、石田元気くん(元・早田町地域おこし協力隊)が、九鬼に来ていたんですよ。2017年に彼は任期を終えて、生まれ育った宮城に移って。会ったのは1ヶ月ぶりなんですけど、お互い「よっ」みたいな。

ほんと、そんな感じなんです。

 

<尾鷲市では、地域おこし協力隊を募集しています。こちらもどうぞ。>

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    12/2,3には、彼らを訪ねるツアーが行われました。こちらのレポートも後日公開します。参加できなかった方も、お楽しみに。

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