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住みたくなったところに住んでみよう-多拠点生活のはじまり-キシタカユキさん/奈良県下北山村

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5月10日に下北山村入り、7月20日まで滞在予定というフリーランスデザイナーのキシさんを訪ねました。

(聞き手:大越元/Kii 水本昌志/下北山村役場)

<暮らしを見たり聞いたり>

大越)よろしくお願いします。

キシ)5/10の夜に家に入って、3週間。東京にアパートもあるので、7月20日までいる予定です。

大越)どんなことをしているんですか?

キシ)今は精一杯村を楽しんでいるところ。村の暮らしをなるべく見たり聞いたりするようにしていますね。

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協力隊の人と一緒に前鬼山へ栃の木の巨樹群を見に行ったり、自伐型林業の見学させてもらったり。この間は村内の仏像の胎内から、資料が出てきたんですね。京都からお坊さんが来るということで、僕も同行させてもらって。あとはてきとうに散歩します。川行って、目の前で魚が泳いでるとこで、ガスバーナーでコーヒー沸かして飲んだり。ホントそんな感じで。

それから、“南朝みそ”のみそづくり体験をしてます。おばちゃんと話ながら写真撮ったりして。

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そういう中でラベルデザイン、自伐型林業のマーク、ステッカーづくりといった仕事も生まれつつあります。

水本)けっこう村のイベントにも足を運んでいる感じですよね。

キシ)そうすね、それが目的で来たという。

大越)日ごろ、心がけていることってありますか?

キシ)自分から声を出すことですかね。「明日山入るんですか?一緒に行ってもいいですか」「〜〜行きたいから紹介してください」。村の人からぐいぐい誘ってくれることはそうないですし、自分からいったほうが村をいっぱい知れるんじゃないかな。あとは、あいさつ。

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そもそもぼくは、「むらコトアカデミー」という企画で下北山村を知ったんです。最終日に「住むところと車とインターネットがあったら、下北山村へ来ます」と発表をして。それをきっかけに、ある夫婦が家を貸してくれました。そこから原付と軽トラを貸してくれる人も現れて。

<釣りをするとは思わなかった>

キシ)十津川村との県境にある釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)も登りました。標高が1,800mあるので大変は大変でしたけど。よかったですよ。登れるもんですね。

水本)自分はだいぶしんどかったですけど、

キシ)行きました?

水本)行きましたよ。自己紹介になりますが、わたしは下北山村の職員で今年5年めなんです。

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キシ)下北山村が地元ですか?

水本)地元は奈良県明日香村です。吉野ではたらきたくて就職活動していたらポン、と下北山村役場の募集が出てきて、縁をいただいて。今は村内に住んでいます。地元の明日香村も村なんですけども、下北はもっと洗練された自然があって。

キシ)洗練された自然?

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水本)自分は釣りが好きなんですよ。明日香村にも山と川はあるんですけど、なんでしょう。向こうで釣れない魚が釣れたり、天然のアマゴがいて、これがまた食いつきよくて。

キシ)自然が面白いんですね。ぼくも釣りをやっていきたくて。

水本)もともとやっていたんですか?

キシ)いえ。来たらやってみたくなって。川がきれいで、いつでもどこでも釣れそうなぐらい魚がいるし。

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大越)川、面白いんですよね。暑い日はエアコン代わりに水浴びしたり、エビとったり、夜になればホタルが見えたり。そんなこと、自分がするとは思っていませんでしたけど。

キシ)「いなかはなんもない」っていうし、ぼくもそう思ってましたけど。目の前にあることを楽しめるか。やってみるか。それだけで、毎日が単調じゃない感じになってます。

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大越)ぼくは下北山村から車で2時間ほどのところに家を借りているんですけれど。生活環境は似ているんです。移り住んできた人が「お金を出してできる遊びは、ほんの一握り」と話していて。ぼくは東京も好きですけど、「こういう遊びもあるよ」と知っておくのは、わるくない気がします。

<たまたまここだった>

大越)キシさんはどうして下北山村へ?

キシ)むらコトアカデミーは、4年前に島根ではじまったんですね。ぼくは島根の松江出身なんですけども。東京で会社に勤めて4年めのときでした。それから島根、広島、岩手。面白かったからぜんぶ出たんですよ。その中で、自分の環境が変わっていって。会社員からフリーランスになり、家で仕事をするようになって。色んなところに仕事と暮らしの出来る場所があったら面白いなって思ったんです。きっかけは、岩泉で25万円の家があるという話。多拠点を住み回って、住みたくなったところに住んでみようと思った。その最初の取組みとして下北山村さんに来るようになった、という感じですね。

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4年前は地元の島根にも通っていたのに、今奈良の下北山村にいるなんて、ぜったい想像もつかなかったし。そのときはそうできなかったし、思いつかなかったし、しょうがない。タイミングと縁でしかないと思っていて。

大越)結果、下北山村だったんですね。

<大人の社会勉強>

キシ)もう一つ面白かったのはね。いなかにいることは、大人にとって社会勉強になるというか・・・下北山村に来て、気づいたこともあります。

僕はかつて、島根を出て東京で就職しました。今になってふりかえると、東京には島根と変わらないことがたくさんあって。

大越)変わらないこと?

キシ)東京にも村社会の要素があると感じたんです。会社をはじめ、そこかしこに。日本全国から集まってきた人たちが、東京で村社会をつくったのかな。

大越)じっさいの村に触れることで、「だから会社ってこういう意思決定をするんだ」と見えてくる。大人の社会勉強なんですね。川遊びの楽しさとはまた違う、ちょっとブラックな楽しさかもしれませんけど。そういうことも楽しんでしまったら、いいんじゃないかな。

キシ)それとね。ここにいると、ぼくは“わかぞう”なんですよね。だから気楽に動ける面もある。せっかく来たんだから、自分のやってないことやってみよう。それぐらいの気持ちもあります。仕事でも、プライベートでも。とにかく楽しんでみる。

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滞在中、一人友だちができるといいですよね。帰るとしても、また遊びに来れるから。「今度はうちにおいでよ〜」と。あとはもう自分次第じゃないですか。

(村内写真:キシタカユキ/インタビュー写真と文:大越元 )

<トライアルステイ/下北山村>

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<下北山村で出会った人>

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