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大漁旗を、みんなで掲げる喜び – 九鬼定置漁業株式会社/インターン/寄稿記事

<三重県尾鷲市からの寄稿レポートを紹介します>

こんにちは。Kii編集長の大越元です。2018年に行われている「南三重大人インターンシップ」。Kiiでは、三重県南伊勢町でのインターンシップを紹介しています。

連携して行われている尾鷲市のインターンシップ募集を、尾鷲暮らしサポートセンターさんよりお届けします。

*本募集についての問い合わせは、記事末尾より尾鷲暮らしサポートセンターさんあてにお願いいたします。

大漁旗を、みんなで掲げる喜び – 九鬼定置漁業株式会社

夜明け前の港。

寝静まった村は静寂と闇に包まれ、虫の鳴き声だけが静かに響き渡る。

湾の奥深くに位置するこの港では、波の音も聞こえず、ただ静かに真っ暗な水面がゆらゆらと揺れている。

そんな非日常とも思える空間の中で、海の男たちは船上に集い、これからの仕事に想いを馳せながら談笑を繰り広げる。

水揚げのための下準備を済ませたら、空も明るくならないうちに船は沖へと走り出した。

静かな集落にただ一つ響き渡る船の音。エンジン音と水切り音が混ざりあった独特のダイナミックなそれが、否応にでもこれからの仕事に心を高ぶらせるのではないだろうか。

沖へと走り出して十数分。いよいよ空が白んできた。

『美しい…。』

そう思わず呟いてしまいそうな僕の表情を読み取ったのか。知り合いの漁師が一言教えてくれた。

『この朝焼けは毎日違う表情をする。これも漁に出る前の一つの楽しみやな』

船はどんどん沖へと進み、それにつれて空もだんだん明るくなってくる。

港を出てから約25分。船は湾を抜け、雄大な太平洋が広がる「ポイント」に到着した。

船が海上に規則的に浮かんでいる大量のブイの輪の中へと分け入ると、にわかに船上が慌ただしくなってきた。いよいよ漁が始まるんだ。

でも、皆あくせくしながらも相変わらず冗談を言って笑い合っている姿を見ていると、「これがプロの余裕なのかなぁ」と思えてくる。

さあ、今日はどんな漁になるんだろうか。

漁師って、どんな仕事なんだろう

今回訪れたのは、天然ブリの産地として名高い三重県尾鷲(おわせ)市・九鬼町くきちょうの「九鬼定置漁業株式会社」。地元では「九鬼大敷くきおおしき」とも呼ばれる。

県内有数の漁師町である尾鷲市を支える、九鬼港での漁を取り締まる会社だ。

漁師という仕事や業界の事情、そして会社の話について、社長の田﨑たざき様に話を伺った。

―漁師の皆さんは、普段どのようにお仕事をされているのでしょうか。

「一日の始まりは日の出の直前からです。今で言うと午前3時半には港に集合し、4時に出航します。漁の現場に着く頃にはちょうど太陽が昇って明るくなるタイミングなので、暗闇の中で水揚げ作業をすることはありません。冬の時期なら日の出が遅くなるので、出航も午前6時くらいまで遅くなります」

「この漁に出る時間というのは、職場や個人、地域によっても変わってきますが、多くは深夜から早朝にかけての時間です。これは漁を行い港に帰ってくる時間を競りの時間に合わせることで、獲った魚を早く売ることができ、比較的魚価を高くすることができるからなんです」

「弊社が主に行っているのは『定置網漁ていちあみりょう』です。船のような形をした網を海中に沈めて、そこに迷い込んだ魚を獲っていきます」

(定置網の模型)

「この独特な形は魚の習性を利用して出来上がったものです。『ここに網を張ったら、魚はこう移動するから、自然と網の中へ誘い込める』という先人の知恵の賜物です。これを9月から10月初頭ごろに海へ設置し、そのまま一年近くシーズンを通して使用します」

定置網のイメージをもっと掴んでいただくため、いったん話を漁の現場に戻そう。

九鬼湾沖にある「ポイント」に浮かぶブイ。それこそが、定置網が設置されていることを示す目印だ。

このブイの下には定置網が沈んでいて、輪の中には迷い込んだ大量の魚が泳いでいる。

その網を二隻の船で前後に囲み、少しずつ距離を近付けていって魚を一ヶ所に集め、クレーンに付いた網で一気に魚をすくい取っていく。

じわじわと近づく二隻の船。

こうして一ヶ所に集まった大量の魚が、クレーンで一気にすくい上げられる様は本当にダイナミックだ。

これを数回繰り返して魚を収穫する。これが定置網漁のやり方だ。

なお、こうして水揚げされた魚たちは朝のうちに漁港へと運ばれ、選別・計量を経て市場へと流通する。

このレポートを書いた時は初夏。時期的にあまり魚が獲れるシーズンでは無いけれど、冬から春にかけては大量のブリが網にかかり、漁港も尾鷲人の食卓もブリでいっぱいになる。

多い日には一日で1万本を超えるブリが獲れるというのだから、船上はさぞ大迫力なのだろう。

 

さて、改めて田﨑社長に、漁業の現状について伺うことにする。

「漁業は確かに、市場全体で漁獲高も減っていて、魚価も下がっています。漁師も高齢化が進んで担い手不足にもなっている厳しい状態です。九鬼の組合員も、5年前に比べて今では1/3まで減りました。漁獲高も魚価も下がっています。その一方、スーパーや販売店への卸値は変わっていないので、既存の流通体制にも課題が残る厳しい状態ではあります」

「でも、九鬼大敷には県外から移住して漁師になった人も何人かいて、そういう人は家族を連れて九鬼に住んでいたりします。他にも現役漁師の息子さんが地元に戻ってきて漁師になるケースもあったりしていて、若い人も増えてきていますし、今は雇用も十分な状態です」

「弊社は多くの組合が一年契約の中、終身雇用制を取っており、月々の給料や社会保険、ローンを組める環境もあるため、そこは強みですね。豊漁の時は基本給と別に支給する歩合も増えます。それに、今は漁も機械化が進んでいるので、皆さんがイメージするよりも力作業は少なくなってきていますし、経験に頼る部分も減ってきています。天候や漁獲量に左右される不安定な仕事ではありますが、こうして少しずつ変わってきてもいます。」

社長のお話の通り、確かに船上には働き盛り世代の方々が多く、冗談を飛ばして笑い合う明るい環境があり、僕がイメージしていた「お年寄りの怖い漁師達が怒号を飛び交わせる」という現場の風景からは大きくかけ離れていた。

もちろん、大漁で忙しい時やトラブルに遭遇した時なんかはもっと雰囲気が違うのだろう。けど、それでもやはり、「漁師って、意外と身近な仕事なんだなぁ」という印象を強く感じた。

まだ漁師には昔ながらのとっつきづらいイメージを持つ人は多いかもしれない。でも、実際に飛び込んでみれば、今はそうじゃないということが身をもってわかると思う。

インターンについて

「インターンの受け入れは11月中旬頃を考えています。この時期であれば、今のような初夏の時期よりも『漁師らしい仕事』をもっと体験してもらえると思います。出航も午前6時頃になる季節なので、早起きもそこまで苦じゃないかもしれませんね」

「持ち物で必要なのはカッパと長靴。救命胴衣、ヘルメット、手袋はこちらで用意します。あと、船酔いが心配な人は酔い止めもですね。船員にも出航の前に酔い止めを飲んで漁に出る人がいます」

九鬼大敷には職業体験の受け入れも快諾頂けた。これも昔ながらの漁師のイメージとは違う、オープンな姿勢を表しているようだ。

あなたが漁師という仕事や、自然と共に生きることに関心を持っているなら、ぜひ一度体験してみてほしい。11月には、この記事よりもっと迫力ある水揚げを体感できるかもしれない。

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問い合わせ内容・自己紹介

<募集要項>

九鬼定置漁業株式会社
雇用形態 インターンシップ
仕事内容 定置網漁(航行、漁獲、魚の選別など)
就業地 九鬼港(尾鷲市九鬼町)
勤務時間 6:00~12:00(目安)
受入時期 11月中旬(日程はご相談ください)
採用計画 現在募集しておりません
採用予定人数 5名