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やりたいことやって生きる。鳥羽市の高校生に知ってほしいキリビリの3年間(前編)クレープ&カフェバーKILLIBILLI /三重県鳥羽市

Toba chairs(トバ チェアーズ)は、三重県鳥羽市が企画する仕事紹介プロジェクトです。紹介するのは、鳥羽市在住の2人のクリエイター。第4弾として、「クレープ&カフェバーKILLIBILLI」を紹介します。

(文 鼻谷年雄/写真 佐藤創/ ロゴデザイン 勝山浩二/ 編集 Kii)

やりたいことやって生きる

今回の記事は、高校生のあなたに送ります。あなたは、卒業したらどこで何をしますか。県外の会社に就職?実家で親の仕事を継ぐ?それとも、進学?

おっさんの僕から、1つだけ言わせてください。今すぐそこでやりたいことをやってみて、それから仕事や住む場所を変えても、ぜんぜんOKじゃない?

そういう僕は今、鳥羽のまちで、やりたいことをやって生きています。

写真提供:梅田周平

いや、シャボン玉作ってるだけではなくて。

ライターとかゲストハウスとか、やりたい仕事で生活をしています。楽ではありませんが楽しいです。

さて本題。そんな僕の心の支えが、近所にある一軒のクレープカフェです。

長く空いていた店舗を行列のできる人気店によみがえらせたのは、当時20歳の店長とスタッフたち。かっこいい!ところがそのお店、今年3月で閉店してしまいます。悲しい…。

大阪からUターンして大抜擢された鳥羽高校OBの女子店長と、すぐにやめるつもりだったはずが新店舗出店を任されたエンジニア系男子。ともにピンチを乗り越え、成長し、2人が決断したそれぞれの道は。

(文 鼻谷年雄/写真 佐藤創/ ロゴデザイン 勝山浩二/ 編集 Kii)

20歳のオープニングメンバーたち

2018年の冬、近所でこんな声を耳にしました。

「キリビリが閉店するらしいで」

キリビリ。看板にある名称は、CREPE,CAFE & BAR KILLIBILLI。鳥羽駅近くで2015年12月にオープンするとたちまち三重県各地から訪れるように。

その理由は大きく2つ。

フォークとナイフを用いていただく欧風スタイルのクレープを提供するお店であったこと。三重県ではまだ珍しくて、おしゃれに盛り付けた写真がインスタグラムなどのSNSで話題となりました。

そして、開店当時20歳のオープニングメンバーたちが主役となったこと。築80年の元中華料理店をリノベーションし、メニューから考案していきました。クレープづくりの経験はゼロ。大阪の有名店で1日だけ研修を受けました。あとはYouTubeを見ながら試していったそう。

今回取材を受けてくれたのは3人。開店当時からの店長、田岡万弥(マヤ)さん(24)。オープンスタッフでは伊勢店のオーナーをしている鳴川真俊(マサ)さん(24)。そして、出資して店を立ち上げた久兵衛の坂田祐紀さん(42)。この日は定休日で、みなさんリラックスしています。

いきなり「店長をしない?」って

マヤさんとマサさんは、どうしてキリビリで働き始めたの?

マヤ 高校卒業後は、大阪へ出ました。仕事をやめて地元に戻って来たときに、オーナーの坂田さんから「店長をしない?」と誘われて。

いきなり店長?!

マヤ 勢いで「はい」と。店舗をつくるところから始めました。メニューも自分たちで考えて。でもオープン2ヶ月で、オーナーが入院したんです。

入院?!

坂田 網膜剥離(もうまくはくり)になって手術したんです。もうお手上げ(笑)。

マヤ それで、わたしたちオープニングスタッフがお店をやるしかない状況になって。

いきなりの試練だったんですね。一方のマサさんは、どうしてオープニングスタッフに?

マサ 自動車整備士をやってたんです。やめたときに声をかけてもらって、手伝いで入りました。接客は苦手だったので、奥で皿洗いだけ。すぐにやめるつもりやったんです。まあ、やってるうちにだんだん慣れてきて。

キリビリがオープンして3年目を迎えた2017年12月、伊勢にも店を出しましたよね。マサさんは、そちらの店長になったとか。

マサ はい。もちろん、今は接客も調理もしてますよ。店長をやらせてもらって、2019年1月からは店を譲り受けてオーナーになりました。

まちに生まれた変化

続けて、話を聞いたのはキリビリを立ち上げた祐紀さん。

そもそも自分の店があるのに、どうしてどうしてキリビリを?

祐紀 僕は若い頃、シドニーの寿司屋で修行してました。鳥羽へ帰ってきたら「同じ港町なのに、なんでこんなに洒落ていないんやろう?」と。

小さい子が親に連れてこられて、かっこいいお兄さんやきれいなお姉さんのいるお店で、自分もナイフとフォークを使ってクレープを食べる。味なんて覚えてないやろうけど、そういうドキドキ感が記憶に残ってほしい。

この写真、インスタグラムで見たとき、僕、店をやってよかったなあって思った。僕は、こういう風景をつくりたかったから。

マヤ お昼は、家族連れや中高生のお客さんが多いです。小学生同士のお客さんもいますよ。

1つお店ができると、まち全体の空気は変わりますね。キリビリの周辺は居酒屋や料理店が多くて「おじさんの町」のイメージでした。

マヤ そうですね。わたし自身、高校生の時は鳥羽のまち中に行かなくてよく知らなかった。友だちがいる鵜方や伊勢のほうで遊んでいて。カフェやバルができて、最近は若い人や女性も増えた気がします。

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