1/25 田中一光 未来を照らすデザイン/奈良県奈良市
主催・会場
グラフィックデザイナー・田中一光は、1930 年に奈良に生まれ、2020 年に生誕 90 年を迎えます。本展は、奈良に生まれ、日本、そして世界を舞台にグラフィックデザイナーとして活躍した田中一光の作品を通じて、その業績を振り返ります。
田中一光とは?
田中一光は奈良市内に生まれ、幼い頃から興福寺や春日大社といった奈良の歴史と文化に親しんで育ちました。その後京都で学生時代を過ごし、大阪、東京と活動の場を移していきました。その経歴は日本のグラフィックデザインの黎明と発展に重なるような道のりでもありました。田中一光はグラフィックデザイナーとして、ポスター、エディトリアルといったグラフィックデザインを初め、デザインのディレクションやプロデューサーとして、日本のグラフィックデザインを紹介する場においても高い手腕を発揮しました。その膨大な業績の中でも、グラフィックアートを中心とした作家としての創作活動一部は奈良県立美術館にも収められています。また自身の創作活動のみならず、仕事、プライベートを問わず幅広い分野の人々と交流を持った田中一光は、各分野の若い世代を「茶美会・然」と名付けた現代的な茶の湯の会を主催してその交流の場とするなど、デザインを通じた現代ならではの日本の文化の発信、そして未来へ向けた創造の展開を目指していた一面もありました。
展示構成
この展覧会では、膨大な数にのぼる田中一光の業績から、ポスターやグラフィックアートを中心とする田中一光の作品を通じて、その創作活動の魅力を伝えると同時に、作品を通して田中一光が目指したデザインによる日本文化の発信を目指す姿勢、デザインの発信する力、創造のエネルギーを感じて頂く機会とするものです。
また本展では、衣服デザイナー・三宅一生による「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」から、田中の代表作でもある2作品「Nihon Buyo」と「写楽二百年」をモチーフとした作品を出品します。三宅の田中の仕事への尊敬や感謝の気持ちがきっかけとなり生まれたこのプロジェクトは、2016 年より毎年新しいシリーズが発表されています。
田中一光と三宅一生は 1960 年代に出会い、1978 年には田中の提案と指揮により、当時としては画期的な個人作品集「三宅一生の発想と展開」を手がけ、その後もコレクションや展覧会のポスター制作など、深い交流が続きました。田中の三宅への期待は「私は,三宅一生の手によってはじめてファッションデザインというものが、構造的な要素をもち、それまでの流行商品の域から抜け出て、デザインとしての力をもちはじめたと思っている」(田中一光デザインの世界,講談社,1987)という言葉にも表れています。
出品作品は、元となったグラフィックのデザインを尊重し、モチーフのカットやトリミングを一切行わず、グラフィックデザインそのままがプリーツ加工され衣服に再現されています。着用して立体となることでグラフィックに新たな命が吹き込まれ、いきとした新鮮なエネルギーの息吹が感じられます。
開催概要
奈良県立美術館
〒630-8213 奈良市登大路町 10-6
TEL
0742-23-3968
開館時間
2019/1/25ー3/15 9~17 時
休館日
1/27、2/3、10、17、25
観覧料
800円(大・高生600円、中・小生400円)