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インターンシップを受け入れる理由/友栄水産

この記事は、2018年7月に掲載した「獲り尽くさない資源デザインをタイ養殖の現場で体得する/友栄水産/インターンシップ募集」の体験記です。

南伊勢町に、約30年前からインターンシップを受け入れてきた会社があります。阿曽浦でマダイを養殖する友栄水産です。2018年4月にはインターンシップを経て新卒の2名が入社。ところが、「インターンシップ受け入れの理由は、漁師の人材確保が目的ではない」といいます。

橋本純(はしもと じゅん)

南伊勢町生まれ。高校卒業後、海外留学を経て家業に。開かれた漁業を目指して、2018年に漁師体験のできる宿「まるきんまる」を開業。2019年からは三重大学の大学院生に。約20年ぶりの学生生活を迎える。

<インターンシップを受け入れる理由>

Q.どうして友栄水産には、全国から人が集まるのですか?

橋本)東京にはなくて、南伊勢町にあるものを知っていますか?それは、日本の第一次産業のリアルに出会える機会です。

日本の第一次産業のリアル? 橋本)友栄水産でいえば漁業。学生たちが船で沖へ出て、魚にエサをあげて、自分で捌く。ほんの数日を過ごす中で、言葉も考え方も変わるんです。

スーパーで魚が半値で売られて「ラッキー」と思っていた子が、都会の生活へ戻ったとき「これじゃ漁師赤字だ」って思う。で、周りに話したくなる。

学生たちは、沖で何を学ぶんですか?

橋本)大学では、水産資源管理や海洋環境管理を学びますよね。その大元にある命です。「魚って生きているんだ」「人が育てているんだ」。僕らにしてみれば、ごくごく当たり前の気づきです。漁師は、捨てるために魚を獲るわけじゃありませんよね。人が食べるから、育てる。育った命は、人に食べてもらい初めて価値が生まれます。

<インターンシップ参加の理由-学生の声->

左から古川さん 佐々木さん 箱山さん 伊澤さん=古川さん・箱山さんは2018年度のインターンシップ参加者。佐々木さん、伊澤さんはインターンシップを経て2018年度に新卒入社

プロフィール
箱山隼人/愛知県出身/北海道大学水産学部海洋資源科学科3年生/9/5〜9参加/中学生より漁業に興味を持つ。夢はVR(拡張技術)を活用した食育事業。インターンシップを機に、「漁師×VR(拡張技術)」の道を考える。

箱山隼人/愛知県出身/北海道大学水産学部海洋資源科学科3年生/9/5〜9参加/中学生より漁業に興味を持つ。夢はVR(拡張技術)を活用した食育事業。インターンシップを機に、「漁師×VR(拡張技術)」の道を考える。

プロフィール
古川雄裕/愛知県出身/三重大学生物資源学部海洋生物資源学科/9/5〜9参加/釣り好きの親元に生まれる。大学での研究と現場のギャップを感じてインターンシップへ。

古川雄裕/愛知県出身/三重大学生物資源学部海洋生物資源学科/9/5〜9参加/釣り好きの親元に生まれる。大学での研究と現場のギャップを感じてインターンシップへ。

Q.古川さんと箱山さんに話をうかがいます。今回はどうしてインターンシップに?

とりあえず現場が見たかった

古川)大学には研究データはあっても、漁業現場の声が全然入ってこないんです。現場を知らない。現場とつながる術さえもない。とりあえず現場が見たかった。

で、漁師やってみようと

箱山)日本の漁業現場を元気にする仕事がしたいんです。水産商社、海運業者のインターンシップにも参加したんですが、倍率30倍の選考をくぐり抜けても…  で、漁師やってみようと思ったんです。とりあえず現場を見てみようと。

<インターンシップ参加の感想学生の声-

Q.参加した感想を聞かせてください。

教育とのギャップにギクリ

古川)大学の講義と現場のギャップにギクリというか。教育現場と生産現場の視点の違いが衝撃的でした。

箱山)友栄水産は市場を通さず、直接取引をしています。その理由を「利幅を増やすためですか?」と質問したら、「消費者の反応を、よりダイレクトに知れるからだよ」と。この学び一つでも、来た価値があったと思うんですが…  さらに現場を体験した上での気づきが凄かったです。

Qと、言いますと?

箱山)船で沖へ出て、イケスからイケスへマダイを移動させる場面がありました。僕は全然できなくて!本当に漁師さんすごい。

箱山)漁師になることを考えたとき、不安がいっぱいあるんです。その一つが災害。僕が大学に通う北海道で、大きな地震。インターンシップ先の南伊勢町では、台風21号。友栄水産で最初にしたのは、復旧作業でした。もちろんその大変さは垣間見えたけれど…  それ以上に、みなさんチームワークで、凄く上手いこと復旧していくんです。「なんとかできるんだ」と思えたことは大きかったです。

<目的は人材確保にあらず-友栄水産->

Q.ほんの数日間に、学生はたくさんの気づきを得ますね。

橋本)インターンシップは、学校では知り得ない“社会”を学ぶ場。うち、漁師予備校ではありませんから。学べるのは漁業だけじゃないんです。経済学部の学生であれば、その知識を活かしてどう地域にお金を生むのか。観光系の専門学生であれば、学んだホスピタリティで、目の前の人をどうもてなすか。社会を知ると、生き方が変わります。

Q.一方、受け入れ側のメリットは?

橋本)自分の子供に見せたい。僕の一番のモチベーションは、そこなんです。この閉鎖的な空間で、人が通らないところにポツンと立ってるの、つまらないじゃないですか。“他人”がいっぱい通り過ぎるところにいさしてあげやな。

橋本)他人が通り過ぎると、従業員も自分の意識を変えるのよ。友栄水産は2018年にゲストハウスを始めました。女性のゲストが漁村へ来ると、まず話し方が優しくなる。魚育てるわ、船運転するわ、カメラ向けられたら笑顔つくるわ。うちはタレント育成学校やからな(笑)。仕事を通じて他人と出会い、本来の自分じゃない姿をみんなにさらけ出す。

Q.でも忙しい日々の中で、学生の相手は大変では?

橋本)面白いんだよね。そのためには時間を犠牲にはせなあかんけど…  いや犠牲って言ったらあかんな。やがて実りにつながるんです。それがこのインターンシップ制度。

<南伊勢町が選択肢を広げてくれた学生の声-

Q.箱山さんは、どうして水産の仕事に就こうと?

僕、高校生の頃から魚が大好きで

箱山)僕は子どもの頃から魚が大好きで。漁業の現場を知りたくて、高3の冬に、自転車で西日本の漁港を回ったんです。鹿児島で定置網船に、宮崎で海外巻網船に乗せてもらって。それで、疲弊した現状を目の当たりにしたんです。同時に行った先々で、漁師のみなさんが本当によくしていただいて。何もできない僕に「ご飯食べて行きなよ」とか「泊まっていきな」と。それが原点です。自分に何かできないんだろうか、と。

漁業×VR

箱山)ぼく、ゲームが好きなんです。魚に関わるゲームアプリをつくろうって。ゼロからプログラミングを独学で始めました。でも、そういう仕事って東京に住まないとできないと思っていた。

箱山)だから驚いたんです。同世代の佐々木くんと伊澤さんが漁師をしてる。自分の行きたいことに忠実に、かつ、しっかり未来のことを考えて。しかも、伊澤さんはライターと2束のわらじを履いている。15時に陸へ上がるから、漁村だからできるんだと。

箱山)学んだことは、まだまだありますよ…  それらは、南伊勢町に来なければ、学べなかったことなんです。

<インターンシップ、始めてみませんか>

あなたもインターンシップを始めてみませんか?

問い合わせ

南伊勢町役場 観光商工課商工労働係

電話 0599-66-1501