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『寄稿レポート』“日常”は、ほんの少しの工夫で“非日常”に変化する。「Live-ZERO. 」井出 雄一郎さん ×「合同会社オフィスキャンプ」坂本大祐さん対談

<奈良県からの寄稿レポートを紹介します>

こんにちは。Kii編集長の大越元です。今回、奈良県のレポートを福土真梨子(福土商店)さんよりお届けします。

福土真梨子:1985年、大阪府茨木市生まれ。専門学校卒業後、スイミングインストラクターやイベント技術職を経験。船や飛行機で世界30カ国以上を周り、「人との出会い」や「今」を楽しむことに重点を置くようになる。現在、奈良県桜井市にて「ひわだぶき」の屋根材料をつくる仕事に従事。自然豊かな奥大和の魅力を知る度に、奈良へ嫁げた喜びを感じている。

*本記事についての問い合わせは、福土真梨子(福土商店)さんあてにお願いいたします。

<“日常”は、ほんの少しの工夫で“非日常”に変化する。「Live-ZERO. 」井出 雄一郎さん ×「合同会社オフィスキャンプ」坂本大祐さん対談>

文・対談撮影=福土真梨子(福土商店) 写真提供=Live-ZERO.

伝統ある素晴らしい場所なのに、人々からなかなか関心をもたれず、足を運んでもらえない。全国には、そのようなところが多数存在する。

それを改善するべく「おもしろいアイディア」と「特殊な技術」によって、歴史ある場所に再びスポットを当てるという、一風変わった地域貢献をしているグループがいる。

それが「Live-ZERO.(ライブゼロ)」だ。

「Live-ZERO.」は、全国の地域を盛り上げ、“モノゴト・トキをつくる楽しさ”を共有したいという想いから始まった。

2016年、第60回前橋花火大会にて「第一回Web花火大会」を実施。花火のルールを決めて、Webで世界中から花火のデザイン(CG動画)を一般募集。優秀作品を実際の花火にして打ち上げるという、アジア初の試みを企画・運営した。企画提供後、現在も前橋花火大会の見所の一つとなり、花火大会を盛り上げている。

他にも、オーストラリア・メルボルンで開催された「メルボルンニューイヤー花火 “MEL NYE 2016、2017”」や、岐阜県の「揖斐川いびがわワンダーピクニック2016、2017」、新潟県の「Fly Night on The Snow 2016、2017、2018」など、国内外で活動を行っている。


2016年の「揖斐川ワンダーピクニック」の様子

<日常的な場所が非日常な場所へと変化する!?>

各プロジェクトの中心メンバーは、花火や特殊効果のスペシャリスト・井出 雄一郎さんだ。

彼らの手にかかると、地元の人にとっての日常的な場所が、非日常な場所へと変化を遂げていく。

普段の平城宮跡「第一次大極殿院」。これが彼らの手にかかると印象をがらりと変える。

今、彼らが取り組んでいる「呼動-KODOU-」というプロジェクトは、「歴史的建造物や地域・伝統技術」にスポットを当て、彼らの独特な発想、特殊な技術によって「ライブ空間アート」をつくり出すというものだ。それらを国内外に発信することで、その地域、建造物、伝統技術の再認識を促し、地域に貢献していくことを目的としている。

「呼動-KODOU-」プロジェクトの第一弾として2017年6月21日に行われたのが、奈良県にある平城宮跡内の「第一次大極殿院」でのパフォーマンスだ。

この「呼動-KODOU-」の映像は、SNSを中心に、国内外で大きな反響があった。

<固定概念にとらわれず、自由に表現できる未来へ>

東吉野村在住のデザイナー・坂本大祐だいすけさんが、井出さんたちの「呼動-KODOU-」というテーマの活動について、話を聞いた。

坂本大祐(写真左):1975年生まれ。大阪狭山市出身。「合同会社オフィスキャンプ」代表社員。商業デザイナーとして、パッケージや店舗デザインなど幅広く手がける。体を壊したことをきっかけに、山村留学経験のある東吉野村へ移住。現在は県・村・移住したクリエイター陣とタッグを組んでつくった「OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO」を運営中。
 井出雄一郎(写真右):1981年生まれ。 神奈川県出身。「Live-ZERO.」メンバー。高校在学中に、特殊効果という世界を知り、アルバイトで携わる。卒業と同時に特殊効果の専門企業に就職する。シンガポールでの常設案件を機に、海外のプロジェクトに 積極的に参加。主に水と炎を研究し、大小関わらず「どんな案件にも新たな試み」をモットーに、機材とシステム開発を行う。近年、豪州の花火企業と技術提携を機に海外での花火業務に従事する。

坂本:第一回目の平城宮跡でのパフォーマンス拝見しました。普通奈良っていったら、仏さんが出てきたり、ほっこりするような動画が多いじゃないですか。

大極殿をバックに、ここまで派手に炎や照明、バケツドラムなどの変わったパフォーマンスで、今風の映像に仕上げてくるというオーバーラップ具合がおもしろいですね!坂本:第一回目の平城宮跡でのパフォーマンス拝見しました。普通奈良っていったら、仏さんが出てきたり、ほっこりするような動画が多いじゃないですか。

井出:和風な場所だから、和風な楽器や太鼓を使って…だと想像通りになっちゃうじゃないですか。僕たちは常に「固定概念を崩したい」と思っているので、一風変わった世界観にしてみました。

坂本:なるほど。「今まで見たことのないものを見たい」と僕自身すごく思うので、とてもおもしろかったです。

井出:僕たちが自由な表現をすることで、次世代の方たちが固定概念にとらわれず「自由な表現」ができる環境になればいいなと思っています。

<「日常」と「非日常」のボーダーライン>

坂本:固定概念を崩すのって難しいですよね。僕は「OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO」という施設をデザインして運営もしているんですが、奥大和にそれまでなかったような空間をつくろうと意識しました。

井出:日常にあるものでも、少し工夫をするだけで非日常な演出ができるんですよ。日常と非日常の境目を少しだけずらしてあげる。それによって、人がそこに興味を持つと思うんです。

例えば、これらを“日常のもの”と“非日常のもの”に分けてみてもらえますか。

井出さんが、火に関連した、チャッカマン・カセットガスボンベ・2の形をしたロウソク・ライターとライトが一つになったスパーカー・ライター・花火を並べる。

坂本さんが考えながら、花火だけを非日常のものに。

井出:ありがとうございます。普通はそうなりますよね。では、立場を変えて、子供にとって、2の形のロウソクが誕生日ケーキを思い出すものだとしたらどうでしょうか?

坂本:なるほど。それはその子にとって、非日常なものかもしれないですね。

井出:僕らは、対する人や場所によって演出の仕方を変えていく。皆さんの「日常」と「非日常」のボーダーラインを動かすために必要な「自由な発想」のきっかけづくりをお手伝いできればと思っています。

<「平城京天平祭」では、観客が炎の演出を体験できる!?>

坂本:今年の8月25日(土)、26日(日)に平城宮跡で行われる「平城京天平祭」でもパフォーマンスされるそうですが、何か決まっていることがあれば、少し教えてもらっていいですか?

井出:はい。天平祭では初登場となる、復原遣唐使船前で音楽をリンクさせたパフォーマンスをします。それと同時に、今回は特別に当日見に来ていただいた方にも、炎の演出に関わってもらえるよう準備しています。

坂本:えっ!お客さんが炎を演出できるんですか!?

井出:はい。安全な場所からですので、お子様でも参加可能です。普段は馴染みのない炎を、自分で操るという非日常的な感覚を味わっていただけたらと思います。

坂本:それおもしろい。炎を操れる体験なんて滅多にないから、一度やってみたいですね!

井出:当日は19時25分から、約30分間隔で実施しています。参加無料なので、ぜひ遊びに来てください。

坂本:これからの更なるご活躍、期待しています。ありがとうございました。

井出:ありがとうございました。

固定観念にとらわれず、自由な発想でモノづくりができるようになると、可能性が無限大に広がっていく気がする。そんなワクワクした気持ちが連鎖していけば、今後さらに、おもしろい未来が見えてくるのではないではないだろうか。今後も彼らの活動を応援し続けていきたい。