ささのうち農園/みかん農家/三重御浜町

Kiiでは、いわゆるフルタイムの仕事にとらわれず、多様な働きかたを紹介していきます。

第1弾として訪ねたのは、三重県御浜(みはま)町にあるみかん農家「ささのうち農園」さん。

こちらでは、NPO法人マザーズライフサポーターと連携のもと「コラボワーク」という取り組みがはじまっています。

これは、子育て中のお母さんが子どもを預け、ともにはたらく仕組み。

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2016年の6月にはじまったばかりの取り組みを、訪ねました。

御浜町は、温暖な気候をいかし、古くから野生のみかんが育ってきたところ。大正時代からみかんの栽培が盛んに。いまでは「年中みかんのとれるまち」とも呼ばれるそう。

[map addr=”南牟婁郡御浜町志原16″ width=”600px” height=”400px” zoom=”9″]神志山小学校[/map]

この日は、神志山(こうしやま)地区へ。

斜面に広がるみかん畑で、笹之内いずみさんが作業をしている。みかんの木になった500円玉ほどの青いみかんをぼとぼとと、もいでいる。

「木になったみかんのうち、実際に食べるのは2割ほどなんです。残りを間引くことで、一つひとつの実が大きくなります。これを摘果(てきか)といいます」

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わたしが笹之内さんに出会ったのは、「みはまるしぇ」でのこと。

温州みかんをいただくと、あまみに加えて香りがいい。みかんってこんなにおいしいのか、とおどろいていると、笹之内さんが色々話してくれた。

「みかんは水が少し足りない環境で、ぐんと甘みを増すんです。斜面に畑をつくるのも、水はけをよくするためです」

だからこそ、水の管理が大切になる。

「空梅雨の年はたいへんです。スプリンクラーのない畑では、水まきが必要になります。日づけが変わるまで、懐中電灯のあかりで水まきしたこともありますよ」

実家が御浜町の兼業農家であるご主人と結婚したいずみさん。夫婦で、専業のみかん農家として働きはじめたのは、2010年のこと。

「まわりの農家さんから『うちの畑も耕してくれないか』『うちも』と声をかけてもらって。毎年少しずつ畑が増えてきました」

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摘果(てきか)を行う6月から8月中旬と、収穫を行う9月から12月には、パートさんを募集してきた。

「季節が限られているし、天候次第できゅうに休みになることもある。不安定なんですね。わたしたちとしては、毎年同じひとと仕事ができたらと思うけれど。お母さんたちにしてみれば、子どもたちが大きくなると養育費もかかる分、スーパーや量販店でのパートに流れやすいんです」

そうした中、コラボワークをはじめることに。

「『お母さんたちが息抜きできれば』。そんなつもりではじめたんです。子育ては、一人で抱えてしまうと大変なもの。うれしいことも、心配なことも話し合える場になるといいなと思って」

「単なる労働力としてではなく、お母さんだからできる働きがあると思うんです。参加者の中から、将来的に長く働ける人が出てきたら」

ここで、コラボワークの仕組みを説明しておきたい。

参加するお母さんたちは、農園近くの公民館に子どもを預ける。そして10時から13時の間農園で、笹之内さんとともに働く。一日につき1,200円が支給されるというもの。

 

10時近くになると、この日参加する3人のかたが集まってきた。

長袖に着替え、日焼け止めをして… 身支度を整えつつ、打ち合わせ。きょう摘果する畑を確め、作業がはじまる。手を動かしながら、誰からともなく会話が飛び交う。

「パン屋さんがオープンするから、今度行ってみよう」

「子どものアトピーがひどくて、どのお医者さんを訪ねたらいいんだろう」

11時を回ると、一休み。

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参加するお母さんに話を聞かせてもらった。となりまちから参加したお母さんは、近々御浜町へ引っ越す予定。前もって、どんなところか知りたかったという。

「以前はアパレルの量販店で働いていて、農業はまったくの未経験。まわりの友だちに『みかん?』って驚かれました(笑)。でも、経験のないことは楽しいかなって」

はじめて、どうですか。

「笹之内さんがまめに教えてくれるんです。たとえば、摘果する枝には目印のテープが巻かれているので、はじめてでもわかりやすくて。だんだんと慣れてくるんです。手を動かすうちに、自分で『ここは、もいだほうがいいかな』と考えるようになって」

休憩が終わり、後半の作業へ。

この日は、一緒に仕事をさせてもらいました。かんかん照りのもとでの仕事は、体力的にけっして楽ではないと思う。けれども、ふと見上げる空が気持ちよかったり、かき氷をつつきながら交わす会話に気持ちが休まったり。

最後に笹之内さんから。

「動きだして、気づいたことがたくさんあります。つい先日もお母さんたちと話し合ったところ。興味を持ったら、連絡をしてほしいです」

しばらくすると、13時の鐘が鳴りました。この日の仕事は、おしまい。

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コラボワークは、8月の上旬まで摘果を行います。9月からは収穫がはじまります。気になった人は、きがるに連絡をとってみてください。

*この企画についての問い合わせは、ささのうち農園さんへ直接お願いします。

電話:090-7954-5763

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