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海女のまち暮らし石鏡町にて、地域おこし協力隊募集(後編) /三重県鳥羽市

Toba chairs(トバ チェアーズ)は、三重県鳥羽市が企画する仕事紹介プロジェクトです。紹介するのは、鳥羽市在住の2人のクリエイター。第5弾として、地域おこし協力隊を紹介します。

(文・写真 鼻谷年雄/写真 佐藤創/ ロゴデザイン 勝山浩二/ 編集 Kii)

鳥羽の中心街から、海岸線に沿うパールロードを車で走り30分。今回の舞台は、太平洋の海原を見晴らす石鏡(いじか)町です。東京の広告業界から、はるばるこの地の地域おこし協力隊に。彼女に大胆な転身を決意させたものは、「海女になりたい」という夢でした。

広告代理店から海女へ

年が明けて2019年1月、上田茉利子さんを取材するため再び石鏡町を訪ねました。

漁港からほど近い上田さんのご自宅で、話をうかがいます。

どうして海女になりたかったんですか?

上田 海が好きで、沖縄とかでダイビングはしてたんです。海女になりたいと思ったのは、神奈川県の三浦半島で磯遊びにハマった頃から。それからは、魚のことを調べたりしましたね。海女募集の仕事を岩手、壱岐、全国探して。石鏡町に決めた理由の一つは、東京のトークイベントでの大野愛子さんとの出会い。

談笑する上田さんと大野さん(右)

大野さんは、上田さんの先輩にあたる元地域おこし協力隊。2018年7月に任期を終えた後、石鏡町に定住。海女と写真家の二足のわらじを履いています。漁を間近で収めた作品が上田さんの心を捉えました。

地域おこし協力隊は中間的な立場

上田さんは現在、週4日市役所に通勤し、週1日は石鏡町で仕事をしています。1年目は地域課題の整理や、情報発信、移住希望者に向けた体験プログラム作成・ツアー実施など。2年目以降は、具体的な地域活性化の取り組みが規定のミッションです。

あらためて、どうして、石鏡町だったんですか?

上田 わたし思い切れないから、分散させたんです。海女をやりたかったけれど、全てを捨てていきなり異世界へ飛び込むのは不安もあって。いきなり海女になるのは不安だし、地域おこし協力隊というワンステップを踏みたかった。鳥羽はちょうどよかったんです。業務に臨みながら、夢に向けてステップを踏みました。2018年末に、漁業協同組合への加入を申請したんです。準組合員になれば漁業権、すなわち海女漁をする資格を与えられます。

着任直後から、地域へのアピールを欠かさずにきました。ことあるごとに「海女になりたい」と口にしています。小型船舶の免許取得もアピールの一つです。これで、海女を沖合の漁場に送迎する船頭ができます。あとは漁場の近くで泳いだり。

すごい熱意。

上田 来たからには、待っていても道は開けないから。

ハイヒールを履く海女になりたい

移住してから、生活に変化はありましたか?

上田 移住直後は案外、平気だったんですよ。半年経った頃、近所の人から「おう、元気か」とあいさつされたときに、ふと不安になって。それまで非日常だった石鏡町での暮らしが、だんだんと日常になっていく。フワフワしていたものが、ガチッとしていくんです。漁協の準組合員になることが叶えば、年間50〜90日は漁に出ることに。覚悟はしていたんですが、いざとなると。

居場所を探して、根づき始めたときに生まれる不安。ぼくも移住者なので、わかる気がします。故郷には二度と帰らない覚悟とか?

上田 東京、好きなんですよ。年末年始は実家に帰りましたし、帰ったら帰ったで、故郷を切り捨てるつもりはありません。周りからは「ここに骨を埋めるのか」みたいなことを聞かれることもあるけれど、どっちかじゃなくて、もっと自由な生き方がしたいからここに来ました。わたし、ハイヒールを履く海女になりたいんです。

まちの覚悟と手探りの未来

最後にまた、まちの話をしたいと思います。石鏡町の住宅街は、平地の漁港から駆け上る斜面に広がっています。迫りあう家々のすき間を道がぬい走り、まるで立体迷路のよう。

ここに人口400人余りが住んでいます。65歳以上の高齢者が48.8%(2019年1月末現在)にあって、70才を超えても元気に働く海女がいる。その一方で、足腰が弱り、家にこもりがちの人も増えています。そんな中、2015年に石鏡町は地域おこし協力隊の受け入れを始めました。「海女の仕事をやらせて万が一、事故や怪我が起きたらどうするのか」「何かあったときに誰が責任をとるのか」。当時は、一部の住民から反発もありました。そして最後には、鶴の一声で「みんなで責任をとろう」と一致団結。

そして最初に大野さんが着任。現在は上田さんが活動をしています。移住者を迎え入れて、日々話し合いを繰り返しながら、まちを前に進めようとしています。

石鏡町の姿

ぼくも、そんな石鏡町が好きでときどき遊びに来ています。最後に、海女の働く姿や石鏡町の暮らしを写真で紹介します。

毎年4月4日に海女が安全と大漁を祈る行事「イソオリアワセ」。

海女たちが船で出漁するところ。

春、海で狩った海藻を干す。

町内にスーパーやコンビニはないが、定期的に移動販売車がやって来る。

もちろん、インターネット通販はすぐに届く。

鳥羽市は、石鏡町の活性化に取り組む地域おこし協力隊を募集しています。

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