森の清々しさに心惹かれて – 森林組合おわせ/インターン/寄稿記事

<三重県尾鷲市からの寄稿レポートを紹介します>

こんにちは。Kii編集長の大越元です。2018年に行われている「南三重大人インターンシップ」。Kiiでは、三重県南伊勢町でのインターンシップを紹介しています。

連携して行われている尾鷲市のインターンシップ募集を、尾鷲暮らしサポートセンターさんよりお届けします。

*本募集についての問い合わせは、記事末尾より尾鷲暮らしサポートセンターさんあてにお願いいたします。

森の清々しさに心惹かれて – 森林組合おわせ

面積の90%以上が山林であり、熊野灘に面したリアス式海岸の地形が特徴的な尾鷲。

この自然豊かな場所で林業を営む『森林組合おわせ』。ここでインターンシップを受け入れるという。

尾鷲駅から車でおよそ15分。三重県紀北町に訪れた。

熊野古道「伊勢路」が通い、山と海に囲まれた三重県南部に位置するこの町は、こちらも面積のおよそ90%を森林が占める。付近には馬越峠まごせとうげ銚子川ちょうしがわなどがあり、週末には県内外からのアウトドアアクティビティを楽しむ人で賑わう。

案内してくれるのは、事業課課長の川端将文かわばた まさふみさんだ。長年、森林組合おわせに従事されている。まず、組合の事業内容について伺ってみた。

―さっそくですが、御社の事業・業務内容を教えてください。

「当組合の事業は、いわゆる林業です。主な業務内容は、大きく分けて、木を「切る」「植える」「育てる」の3つです。これをサイクルでやっています」

「季節によって業務は変わります。春にヒノキやスギなどの苗木の植えて、夏に下草を刈り、秋から木の間引きを行い、出荷材を切り出していく。それに加えて、木材の形を整える素材生産まで行っています」

「雨の日は樹木の皮が傷つきやすいので伐採しないなど、天候によって業務内容を調整したり、依頼によっては、保守や環境保全の為の除伐、林道整備などをすることもあります。山林・森林に関わる幅広い分野で、木に関する仕事を行っていますね」

「私たちは『尾鷲ヒノキ』と呼ばれる良質のヒノキを産出しています。この地域は、急峻な地形に痩せた土壌と、本来木の生育には適していません。けれど、温暖な気候で、年間降水量が全国でも一二を争うくらい、雨がよく降ります。偶然にも、こうした地域特性がヒノキの品質を高める要因になったそうです」

厳しい環境の中、ゆっくりと長い年月をかけて育まれたヒノキは、年輪がとても緻密で、強度や耐朽性に優れるのだそう。かつて関東大震災の時に尾鷲ヒノキを使った建物の倒壊が少なかったことから、その名が全国に知られるようになった。

「この事務所やいま使っているテーブルも、尾鷲ヒノキが使われています。油分が多く光沢があって、経年変化で独特の赤みが差すんです。綺麗ですよね」

・企業の状況、林業の現状について

―林業は衰退しているという潮流がある中、御社はどのような立ち位置で、どんな対策を取られているのでしょうか。

当組合の主な収益事業は、木材の出荷です。出荷は住宅用資材が多く、家具用資材類は少しずつ、といった状況です。20~30年前と比べ、木材の値段は1/10以下に下がりました。尾鷲ヒノキブランドと言えども、厳しいですね」

一般建築用材としての尾鷲ヒノキの価格は、他の木材とほとんど変わらず、苦戦しているのだそう。

「今一度、尾鷲ヒノキを評価してもらうために、昨年『日本農業遺産』に認定してもらいました。ここに活路がないか模索しているところです」

日本農業遺産認定に際し、木材としての品質の高さだけでなく、適切な密度管理により持続的に生産する独自の伝統的技術の継承、海岸線まで植林されたヒノキの特徴的な景観なども評価された。尾鷲ヒノキだけでなく、尾鷲の林業そのものが見直されようとしている。

「FSC認証という、森林環境に配慮した商品だという認証も受けています。自分たちの活動が森を守っていく、そうした点もアピールして、売っていきたいですね」

―昨今、地震に対する関心はどんどん高くなっています。強度に優れた尾鷲ヒノキは、今後、建材としての需要が高まっていくのではないでしょうか。

「大手メーカーのニーズに応えるには安定供給が必要ですが、人材不足でうまくできていません。今は林業従事者の数が減っていますから、こうしたインターンシップで、若い人が林業に興味を持ってもらえるような取り組みは、重要だと考えています」

―森林組合でも「切る」専門の組合も多いと聞きます。なぜ、植える・育てることにも挑戦されているのでしょうか。

「地域的にやらざるを得ないんです。自分たちがやらなければ、山は荒れてしまいますから。ここは木の生育には良くない地域なので、一本あたりのコストは、他の地域に比べ割高になります。コストを下げるには、皆伐かいばつ(山を全部伐採する)など効率化が必要ですけどね」

―一本の苗木が木材として出荷できるまでに育つには60~70年ほどかかると伺いました。皆伐など木を切り過ぎてしまうと、資源が枯渇してしまうのではないでしょうか?

「山の面積は広大ですので、これを切り続けても何十年とかかります。私たちは、切ったところに新しい苗木を植えているので、例えば100%の木を切っても、70%の木を植えていけば、山は再生されるんです」

林業に関わりがないと、”木を切る”ことが、どうして森林環境の保全につながるのか、イメージを持ちにくい。中には、自然のままにするのが一番と考えている方も少なくないように思う。

「この辺の山々のほとんどは人工林なんです。自然のままの森林ではないんですね。ありのまま放置するより、間伐で適度に陽の光が入るほうが、苗木の生育にはいいですし、樹齢20~30年の若い木の方が大気中のCO2(二酸化炭素)をよく吸ってくれます。大事なのは、適度に人の手を入れること。うまく木を利用しながら、森を守っていくんです」と川端さんは話す。

尾鷲の山々や森林は、林業に携わる人の営みの中で育まれてきた。林業という仕事や、森林組合おわせが担う役割は、とても大きい。

実際の作業現場をみる

「今、ちょうど木を切る作業をしているんです。実際に現場を見てみますか?」と川端さん。

折角の機会なので、同行させてもらうことに。

やって来たのは、尾鷲市内のとある山林。

途中から車移動が困難なほどの悪路を進み、ようやく目的地にたどり着く。作業現場では、3名の組合員が作業を行なっていた。

この辺りは台風や大雨の時に倒木の危険があることから、現場周辺の民家からの依頼で、木の除伐作業を行なっているという。このような保守管理の仕事も多いのだとか。

「今日は現場近くまで車で来られましたが、徒歩1時間以上かけて、重い荷物や弁当を担いで現場に行くこともあります。それから間伐など作業するので、大変ですね」

1つの現場には、短期で1~2日、長期では1ヶ月以上いることも。滞在期間は、作業内容や現場周辺の環境によって変わる。夏の暑い時期は特にしんどいのだとか。

組合作業班班長の廣下さんが、作業の説明をしてくれた。

「これから、この杉の木を切り倒します。どんな手順で行うのか、見ていてください」

ハシゴをかけ、スルスルと高所へと登っていく。これから切り倒す木に、ぐるりとロープを掛けていく。

「木を倒す方向にロープを引っ張って誘導するんです。倒す方向を指定しないと、危険だし、余計な作業が発生してしまうので。けれど、最初は狙った方向に木を倒せないことが多いんですけどね」と話す。

作業に使用するチェーンソーは、大・中・小の3種類がある。

「太くて大きな幹を切るときは中~大、枝を落としたり周辺の草木を刈るのは小、といった風に使い分けています」

木の伐採と聞くと、木を真っ二つに切り出すのを想像するが、実際は異なる。

まず倒す方向に切れ込みを入れる。

次に、反対方向を少し削って、プラスチックのくさびを打ち込んでいく。

すると、木が傾き、自重で倒れる(折れる)という仕組みだ。

最小限の労力で木を切り出していく様は、見ていてとても気持ちがいい。

「昔は、当然ですが機械はないので、ノコギリで切り出して、人力で運んでいました。チェーンソー、重機が使える今と比べると、大変な労力だったでしょうね」と、川端さん。全て人の手で作業をしていた先達に想いを馳せる。

しかし、良いことばかりではない。チェーンソーなどの機械は、使い方を一歩間違えば大怪我につながるなど、危険が伴う。

「作業用ズボンの生地には、このような細くて丈夫な紐が入っています。脚を切ってしまう前に、この紐がチェーンソーの歯に絡まって、止まってくれるんです。これに何度も救われました。安全に作業するには欠かせません」

他にも、鉄板を仕込んだ作業靴、ヘルメット、手袋など、日頃の安全対策や危機管理意識は欠かせない。肉体的にも精神的にも、大変な仕事だとわかる。

先ほど切り倒した、杉の木の断面に注目する廣下さん。

「木の樹齢は年輪を見ればわかります。この木なら60年くらいですね。他の木材だと、年輪の幅が広く柔らかい。一方、尾鷲の木材は、年輪が詰まっていて、硬くしっかりしているので良い木材だと言われているんです」と話す。

重機操作を担当していた石倉さん。20年以上、林業の仕事を続けている。

森林組合おわせで働く人は、どんなところに仕事の面白みを感じているのだろう。

「林業の作業現場は、とても変化に富んでいます。一つ一つ全く違うので、現地にいって、どのように作業を進めていくのか考える必要がある。それに向き合って、対応していくことに、醍醐味を感じます」

林業の仕事を、単に木を伐採する仕事と考えてしまうと、誤解を生んでしまうかもしれない。

作業現場では、道具や重機の運搬、伐採の下準備、木材の運び出し、不要な木材を腐らせるための下処理など、他にも様々な仕事の積み重ねがある。

覚えることも多く、慣れないうちは、失敗して叱られることもあるだろう。

それでも、この仕事に少しでも「面白み」が感じられたら、ぜひ思い切って飛び込んでみてほしい。

インターンについて

インターンシップではどんなことをしますか?

「インターンシップでは、樹木の伐採など「切る」工程、木を「植える」工程、木材工場で「加工する」工程を体験いただく、全3泊4日のスケジュールを予定しています。(※天候等によって変更の可能性あり)」

「チェーンソーなどの機械も使用するので、安全対策としてヘルメットや安全靴、作業ズボンなどは、こちらでご用意いたします。アウトドアウェアなど、野外活動ができる服装をご用意ください。実施時期は10月下旬を予定しております」と川端さん。

インターンシップの応募条件はありますか?

「林業に興味のある学生はもちろん、社会人の方もぜひ参加してほしいですね。林業未経験でも問題ありません。DIYや日曜大工など、木に関することに興味があれば、ぜひ応募してみてください」

森林組合おわせでは、インターンシップ参加希望者の他に、新たな仲間も募集しているそう。

「山や森林での現場作業が多い職場ですので、体力に自信のある30台前半までの方が望ましいです。林業経験者であれば尚歓迎いたします」

尾鷲の林業という仕事に興味が出た方は、ぜひ一度体験されてはいかがでしょうか。

森林組合おわせでの職業体験は10月下旬~11月頃に行われる予定です。

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    問い合わせ内容・自己紹介

    上記の内容にて送信いたします。

    <募集要項>

    森林組合おわせ
    雇用形態 インターンシップ
    仕事内容 林業(樹木の伐採・間伐、植林、木材加工など)
    就業地 森林組合おわせ事務所、他(尾鷲市周辺)
    勤務時間 9:00~16:00(予定)
    受入時期 10月下旬~11月頃(日程はご相談ください)
    採用計画 新卒・中途採用あり
    ※尾鷲市及びNPO法人おわせ暮らしサポートセンターは雇用を斡旋いたしません。
    受入人数 3名 ※応募者多数の場合は抽選となります。

     

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