「建築板金って、どんな仕事?」下川建築板金、3人目の仲間探しです/三重県御浜町

職場は、屋根の上。

「何してるんだろ?」

建築板金は、屋根をつくる仕事だ。家や工場にはかならず屋根があるから、みんなお世話になっているはず。けれども、なかなか知られていない仕事。

今回は、三重県御浜町で建築板金業を営む北本勝也(38)さんを訪ねた。彼は今、働く仲間を募集している。北本さんの選択肢に「ものづくり」はなかったそう。岐阜の大学卒業後は、名古屋市栄でアパレルの起業を考えていたんだって。

事務所で1回、現場を2回。それから、3回飲みに行って。ぽろぽろと聞いたことを綴りました。

(写真と文 大越元)

<どうしてこの仕事に就いた?>

-この仕事に就いたきっかけは?

妻の家業だった。それだけです。

アパレルやりたかったんですよ。名古屋の栄で。だから、妻と出会って「実家のある御浜町へかえりたい」と言われたのは究極の選択だった。アパレルへの気持ちは捨てて、覚悟決めて御浜町へ来た…  つもりだったけど。真っ青なったよ(笑)。「やばいやばい、人生間違えた」って。めっちゃ後悔した。

義理の親父に弟子入りして、現場出るでしょ。何してるかわからないの。丸5年。

毎朝ほんとゆううつでさ。布団の中で「建物消えてないかな」。現場入って、屋根上るでしょ。「お義父さんを突き落としたら、ここから逃げられる」。ほんまおもってましたからね(笑)。午後3時ごろになると、もうそわそわして、近所のツレと川遊び。超現実逃避の毎日。

現場の職人仲間からも「あの子ぜったい一人前ならん」っておもわれてたはず。嫁さんの実家だからやめられなかっただけ。

でも義父が言うんですよ。「霧が晴れる日が必ず来るから、それまで続けてごらん」。5年目を迎えた朝でしたね。「そういうことか」って。むっちゃ楽しくなって。それから10年になります。

屋根なんて誰がつくっても同じだとおもうでしょ?違うんだな。正解はないんですよ。

マラソンしていると、だんだん気持ちよくなってくるランナーズハイってあるでしょう。同じように時間が許すかぎり、ずっとトンカンしてたい時があるんです。ほどほどで切り上げた方が効率的なんだけれども。板金の仕事面白いんですよ、終わりがない。

<仕事で大切にしたいこと>

-この仕事をする上で大切なことって?

人が好きなこと、感謝できること。仕事って、慣れとのたたかいです。予算で見れば小さなリフォームも、お客さんには一生に一度の一大決心。うちを選んでくれてありがとう。その気持ちを忘れない。

-ぼくはめっちゃ不器用なんですけど、務まりますか?

全然問題ないっす。感謝する気持ちを持つことが、仕事のはじまりだとおもいます。それがクリアできたら、技術は絶対あとからついてきます。

-5年間も修行の時期があるのは、つらいです。

だよね。うちの義父は見て覚えろのザ・職人だったから。今は手順書もつくりつつあります。言葉で伝えた上で、現場経験を積んでほしいんです。

あのね、ぼく自身不器用なんですよ。職人に向いてない(笑)。もともと手を動かしてきたわけじゃないし、あきやすいし。

でも、職人が変わっていくとおもう。

今までは「一つのことを黙々とやる人」だったよね。今、どんどんはみ出る人が、現れている。

だから、今まで職人とか全然考えてなかった人がいいんですよ。

<10年後の板金屋は?>

板金屋の仕事はもっともっと楽しく、クリエイティブになります。

-クリエイティブに?

「今ある仕事の約半分が、今後20年でなくなっていく」。あの言葉はほんとうだろうなって。屋根の上の仕事も、この10年間で全部省力化なってるんですよ。一つ一つ手で設置していたガルバリウム材が、足で踏んでカチャン。プラモデルのようになっています。

-職人技とか、専門的な技術の求められる仕事が減っている?

そう。これ、変わるチャンスなんです。

-どう変わるんですか。

一つは、屋根のプロチームをつくること。自ら発信して、お客さんと直接やりとりして、自らお受けできる仕事を増やしたい。誰でもできる部分が増えた一方、誰がつけても一緒ではないんです。結局ぼくらの技術力とか提案力によって、仕上がりは大きく変わります。

で、提案力を変えるのって、興味とか遊びだとおもう。

自宅の隣に建つ事務所へ。御浜町内にある馬明(うまめ)窯のカップで、コーヒーをいただいた。

ぼくはアパレルの道に進まなかったけれど、やっぱり今も好きなんですよ。そこから、機能性だけじゃなくて、見た目にも美しい屋根をつくりたいなとおもったり。

それから、あたらしい仕事をつくること。自分がもうけて、まちもよくしていく。当たり前ですけど、まちが元気じゃないと、ぼくらも食べていけない。だから、仕事終わりによく集まって、話して、飲むんですよ。そういう“バカ”が多いから、いつの間にか自分も“バカ”になってく。この雰囲気はね、たぶんここにしかないんですよ。僕は昔、名古屋に住んでたんですけど。向こうのツレからも「御浜町は、人が揃ってるなぁ」って。

<農業のシェアハウス>

その一つとして考えているのが、農業のシェアハウスです。

-農業のシェアハウス?

ぼくら建築の人が大きなビニールハウスを建てて、何軒かの農家さんに入居してもらう。そこで、農作物を栽培してもらうんです。

農業はね、御浜町の基幹産業です。現に、地元の中高生でも関心のある子が多い。そこで、かっこいいなとかやってみたいなとか。そうおもえる環境をつくれるのが、僕ら建築の仕事なんです。

たとえば、みかん。

中でも売値が高いハウス栽培のみかん。けれど、年々灯油代が高くなっていく中で、廃業も増えてます。農業ハウスを考えたきっかけは、うちのばあちゃんにあるんです。「建築が農業にできることは?」って。

屋根材を調べ、色んな勉強会に参加したんですよ。その中で、家や工場に使われる遮熱材をビニールハウスの屋根につかったら、燃料代を6割削減できるとわかった。メーカーの方に相談したら、「ぜひ」って。応援してくれたんです。

今年中に、第1号を建てます。

木造なんですよ。

-ビニールハウスといえば鉄筋ですよね?

この辺りは台風の通り道。風害に負けるんです。調べると木造のほうが強い。地元木材を活用すれば、地域でお金が回る。そこで農家さんが実験を重ねつつ、気候風土に振り回されない農業をできるまちになれば。

-北本さんはもはや職人か、まちづくりのコンサルか、設計士かわからないですね。

楽しいじゃないですか。そういう仲間がほしいですよね。

そうそう、最初は勤めですけど、ゆくゆくは独立もぜひ。自営業って、面白いですよ。職人のいいところは、仕事を覚えたら対等になること。タメ口で話せるから、現場が回るんです。

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    <下川建築板金について>

    下川建築板金
    募集職種 職人
    雇用形態 正社員
    給与 月給140,000円~375,000円
    建築関係経験者は優遇いたします。
     福利厚生 ・賞与・昇給有り・保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)・雇用保険・労災保険に加入
    仕事内容 住宅や工場の金属屋根・外壁・雨といを施工しています。
    また、必要とするガルバニウムの部材を工場で加工します。
    基本的には、外作業になります。
    新築・リフォーム全般の仕事です。
    勤務地 三重県南牟婁郡御浜町阿田和5149-1
    勤務時間 8:00~17:00(12:00~13:00休憩)
    休日休暇 日曜休 天候に左右される仕事です。悪天候による休みあり。
    ・盆休み(8/12~8/18)
    ・年末年始休暇(12/29~1/5)
    ・年間休日 69日
    応募資格 経験、学歴問いません
    *屋根、雨とい、外壁、専門の仕事なので技術を必要としま すが、その都度、指導いたします。
    普通自動車免許(AT限定不可)→町内に自動車学校あります
    採用予定人数 2名
    従業員数 2名
    応募の流れ まずは下記よりご応募・問合せください

    1次…履歴書をお送りください。

    2次…現地で話しましょう。

    採用(試用期間3ヶ月)
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