酒商のより奈良三条店が閉店します。/奈良県奈良市
酒商のより奈良三条店が閉店します。
(ご安心ください。本店にあたる西大寺店は引き続き営業されますからね!)
この店を初めて訪れたのは、2013年のことでした。当時は東京に住んでおり、自分が奈良へ移るとは1mmも考えていませんでした。川上村への移住ツアーを企画した帰り道。奈良市内で偶然見つけた「酒商のより奈良三条店」。店内のショーケースには「風の森、篠峯、花巴、ソガペールエフィス(長野の小布施ワイナリーがつくるめっちゃおいしいお酒!)…」と東京ではなかなか手に入らない顔ぶれ。「こんなセンスのいい店があるんだ!」と大喜びしたことを覚えています。
それから3年。ひょんなことから奈良へ家を借りることになると、「酒商のより奈良三条店」へたまーに訪れるように。日本酒発祥の地である奈良県。同じ銘柄でも「今買わなければ2度と手に入らない」1本があることを知り、日本酒の巡り合わせを知りました。
インターネットでなんでも手に入るようになった(気になる)今だけれど、「とことんこだわって、走って、蔵を探して、訪ねて、取り扱いが生まれた日本酒」。そうしたご馳走があることを知りました。そして、購入して飲むまでが日本酒であることも。
酒商のより奈良三条店には、2つの厳しいとも思えるルールがありました。1つは、ショーケースの開閉をスムーズに行うこと。そして、持ち運び中の温度管理1つで味が変わりうること。はじめは「厳しく」、「口うるさい」とさえ感じましたが、今思うとこだわり抜いた蔵人たちの顔が見えているからだったのではないでしょうか。
その姿勢からは「今の時代に実店舗を構える意味」もうかがい知れたように思います。
Kiiにとっては、日本酒の先生のような名店でした。
※年末年始は1/6まで無休で営業されます。1/3は昼過ぎから一寸バーで飲む予定です。キテネ。
行ってきたよ!酒商のより一寸バー
「酒商のより奈良三条店が閉店します。」を書いた理由
Kiiの実家は、まちの薬屋でした。小学校へ上がった年の日課は、閉店後にレシートを伸ばし、右のはじを父が、左のはじをわたしが持ち、2人で折りたたんでいくことでした。景気の移ろいや、ドラッグストアの出現もあり、次第にレシートは短く、高校へ進んだ年には、とうとう2人の手がいらなくなりました。そんな店も、2016年に閉店。その際、(嫌がる父を押して)一本のネット記事を書いてもらいました。
「東中野のカオス空間「アサヒ薬局」閉店へ 作品は「時代の世相を反映した」と店主」(中野経済新聞)
東中野のカオス空間という紹介の仕方が嬉しかったかどうかは別にして、一本の記事に残ったこと。そして、人の目に触れたことがとても有り難かったんです。
2018年に「岡西精肉店JR奈良駅前」が閉店した際も、寂しいなあと思いました。売上としては小さいものだったと思うけれど、のよりさんにはとても感謝しているので、この記事を書きました。のよりさん、どうもありがとう。