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和歌山県の福祉作業所で職員募集-ひじき、白装束、卒塔婆、蚊帳布巾をつくって気づいたこと-/わかば福祉会/和歌山新宮

ありがとうございます。こちらの求人は現在募集を受け付けていません。今後の採用につきましては、問い合わせください。

和歌山県の新宮市。ここで毎年2月6日に行われるお燈(とう)祭り。その衣装となる白装束や荒縄、そして松明(たいまつ)。その一部は、障がい者とよばれる人たちの手でつくられていました。

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和歌山県フォト博物館より

わかば福祉会は知的、身体、精神障がいのある人たちの居場所をつくろう、と1997年にはじまりました。現在は、主に仕事の場である福祉作業所と、生活の場であるグループホームを営んでいます。

今回は、福祉作業所で働く人を募集します。

主な仕事は、生活介護と就労支援。小さい事業所だからこそ、主な仕事は持ちつつも、臨機応変に対応していく日々になるという。すべての仕事に共通するのは「障がいのある人たちと関わりあい、お互いがより豊かになっていくこと」のように思います。

福祉業界での経験は問いません。和歌山県へのUターンを考える福祉職の人はもちろんのこと。むしろ、福祉を考えたことのない人にこそ、まずは読んでほしいです。

火曜日の朝9時。訪ねたのは新宮市中心部の住宅地にあるわかば園作業所。ここは、障がいのある人の生活介護と、就労支援を行う施設。所長の田邊(たなべ)さんが迎えてくれました。

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「わかば園作業所は、1977年に障がい者の親の呼びかけではじまりました。新宮周辺の障がい者たちは、学校卒業後に行き場所がない。居場所づくりからはじまりました」

わかば園作業所には、大きくわけて2つの事業がある。就労支援と生活介護です。

はじめに訪ねたのは朝礼中の、のびのび班。

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「ここでは就労のむずかしい、重い障がいを持つひとの『生活介護』をしています。体を動かすことのできない人もいれば、知的障がいがあり、コミュニケーションをとりにくい人もいます」

「一人ひとりが、障がいも性格も全然違います。相手を知って、関わりかたを見つけていくことが、わかば園で働く基礎なんです」

就労支援の核となるのが、和歌山県太地(たいじ)町産ひじきの加工。

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「1年に4tのひじきを加工しています。毎日25㎏を釜茹でして、1日天日干ししたのち、乾燥機へ。次に選別です。天然の海藻なので貝、海老、砂を手作業で取り除いていきます」

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販路も自分たちで見つけていった。

「市内の小中学校の給食でも出しています。飛び込み営業したんです。そこから先生が、別の学校を紹介してくれたり。一つひとつ、ほんとうに助けられてきました」

わかば園では、ひじき以外にも、障がい者が働く場をさまざまつくってきた。

庁舎の清掃、空き缶の回収、布巾づくり、三重県御浜町や紀宝町では、耕作放棄地を再生してのみかんと米の収穫販売。それから、毎年2月に新宮市で行われるお燈(とう)祭りの白装束、松明(たいまつ)、荒縄づくり。

「障がい者が月にいくらで生活するか、知っていますか?6万円の障害者年金が支給されますが、親がいなくなったあと、それだけでは生活していけませんよね」

「どうにか仕事をつくろうと、もがいてきました。とはいえ職員は、介護や保育の出身者がほとんど。農作業も、作物を売るための営業も、一つひとつ手探りでやってきたんです」

職員一人ひとりが、生活介護や就労支援をしつつ、ときに営業にも商品開発にも回る。小さな仕事を積み重ねて、作業所の利用者さんの報酬は現在、月2万8000円に。

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:わかば福祉会ホームページより

 

ところで、障がい者の就労支援においては、障がい者枠での企業就職が一つの目標とされます。

法律により、企業は従業員数に応じて、一定の人数の障がい者を雇用することが義務づけられています。実は、就職後3年以内の離職率が30%と言われています。

その原因の一つが、就職先で人間関係になかなかなじめないこと。

「就職後のケアがとても大切になると思います。現状では、必ずしも企業就職だけがモデルとは言い切れないかもしれません」

田邊さんは、利用者の一人である健(けん)くんを紹介してくれた。

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20代の健くんは、毎朝40軒の新聞配達を終えてから、わかば園で庁舎清掃の仕事にやってきます。

「彼は『わかば園の仕事が楽しい』と話してくれたことがあります。何が楽しいの、と聞くと『仕事をしながら、色々な人と関われるのが楽しい』と答えてくれました。お金を稼ぐことはもちろん大事ですが、同じくらいに人との関わりが求められているかもしれません」

次に訪ねたのは、作業所から、車で5分ほどの畑。

女性職員の岸野さんが、利用者さんとともに仕事をしていた。

この日は台風の翌日。岸野さんは、唐辛子の被害を確かめている。無農薬のサトイモ畑では、利用者さんたちが草取りを行っている。

岸野さんが、働きはじめたきっかけを教えてください。

「以前はパートで、訪問介護の仕事をしていました。フルタイムで働きたいと思っていたときに、わかば園の募集があって。まだ、丸4年なんです」

まだ、なんですね。

「うん。介護という点では高齢の人と同じですが、最初はいっぱい戸惑いましたよ。たとえば、草取りをするとき、口で『草ひこうか』と伝えるだけでは、伝わらんから」

伝わらない?

「人それぞれに理解が違います。ある人は首をかしげつつも、手を動かしはじめる。わからなくなって、途中で手が止まると、わたしが『こうやで』と教えていきます。また、言葉でのコミュニケーションがとりにくい人もいます。まずわたしがやってみせて、やってもらって、できなかったら一緒にやって」

「ほんとうに、一人ひとりまったく違います。いきなり一緒に仕事をしようとしてもできません。まず、そのひとをよく見て、知って、はじめて一緒に働けると思うんです」

障がいのある人と働く上で、戸惑うことはありませんでしたか?

「わたしはそんなになかったです。というか、そんなに障害のある人だと思って接していないかな。わたしと同じだけれど、ちょっと特徴や個性があって、少し違う。そんな感じです」

実は、岸野さん自身がわかば園で働くまで、農業はまったくの素人だった。

「週に一度、農業指導員の方のアドバイスを受けるんですけどね。教える前に、自分ができるんかな?という不安はありました。わたしがわからないと、みんなわからなくなる(笑)。うーん、とうなりながら少しずつ、一緒にできるようになったんです」

「みんなで、なんです。助け合ってね。覚えるまでは時間がいるけれど、一度覚えると、ほんとうにきれいな仕事をするんです。すごいと思う。教えてもらうこと、たくさんありますよ。ここに来て、わたしも変わったと思う」

最後に訪ねたのは、わかば園第二作業所。

ここではお墓に建てる卒塔婆(そとば)や、お燈祭りの松明をつくっています。

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職員の瀬田さんは、経営面を織り交ぜつつ、話してくれました。

「木の加工品をつくろうと考えたとき、色々な案が出たんです。鍋敷きとか。定期的に取引できるものを考えて、卒塔婆をはじめました。これまで近畿圏を中心に、260軒のお寺へ納めてきました。手ごろな価格を切り口に、一度は買っていただけます。どう次につながるかが、考えどころです」

いっぽうで、経営にかたよりすぎないように心がけているという。

「精神的なむずかしさを抱えて、ひきこもる子がいれば、支援することも仕事のうちだと思います。いっぽうで、利用者さんの工賃を少しでも上げていくことも仕事。経営と福祉、どちらも大切なんですね」

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最後に、瀬田さんはこう話してくれました。

「卒塔婆磨きをやっとやっとこなしていた子が、やがて材料選び、発送も覚えていく。そういう場面に出会うときがあります」

得意不得意や弱い部分も含めて、相手を知ろうとする。その上で、適した仕事を頼んでいくと、できることが一つずつ積み重なっていく。仕事をとおして、その人自身が生きてくる。

わかばの仕事は、目の前の人に応えることからはじまるように思いました。

最後になりましたが、今回の募集については福祉の経験がなくてもよいとのこと。むしろ「いままで全然違う仕事に就いてきたけれど、働いてみたい」。そう思った人は、一度自分で訪ねてみてください。

ありがとうございます。こちらの求人は現在募集を受け付けていません。今後の採用につきましては、下記より問い合わせください。

<生活について>

住まい 市街地であればアパートから一軒家まであります。また車で15分ほど行くと、人口は300人ほどの高田集落があります。ちらほらと移住者も現れつつあるところ。空き家と畑を借り、暮らすのも一つかもしれません。
新宮のこと 新宮市は人口2.6万人のまち。世界遺産の熊野速玉大社の門前町として盛えました。山と海と川の間に位置する市街地は、コンパクトにまとまっています。
移動手段 車があるに越したことはありませんが、市街地で生活する場合は自転車、原付でも間に合うと思います。

<募集要項>

募集職種 わかば園作業所正職員
雇用形態 正社員
給与 法人の給与規程により決定します。参考として(中途採用者の場合)20歳代で、年収270万~300万円。40歳代で、年収は300万円~400万円。新卒採用については、面談時に確認をください。社会保険、マイカー通勤可、交通費支給上限28,000円
仕事内容 生活介護、就労支援
勤務地 和歌山県新宮市下田二丁目6番40号
勤務時間 8:30~17:00(12:00~13:00 休憩)毎週水曜日は、職員会議のため18:00就業終了/残業はあまりありません。17時30分には事務所の灯りが落ちています
休暇 原則、週休2日(土日)で、月に8日又は9日間の休み(101日程度)
応募資格 学歴・経験は問いません
募集人数 1人
応募の流れ 下記より問い合わせ・応募

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