東紀州発、特産品を開発・届ける仕事をはじめませんか/御浜町地域おこし協力隊

*ありがとうございます。こちらの求人は募集終了いたしました。(2017/10/6)

「伊勢の向こうには、何がある?」

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南北に長い三重県。伊勢神宮を訪れたことはあっても、さらに南へと足を運ぶ人は限られると思う。

一方で県北の津や四日市から、このエリアへと移り住む人もいます。

「紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町。あわせて東紀州とも呼ばれるこのエリアにこそ、三重らしさが眠るのではないか」。そう聞くこともあります。

三重県御浜町(みはまちょう)。8,836人が暮らすこのまちを拠点に、最長3年間、東紀州を駆け回ってみませんか。

三重県・御浜町ではふるさと納税を軸に活動する地域おこし協力隊を募集します。御浜町を中心に、地域の事業者と話し、特産品を掘り起こし、届けていく仕事です。

近畿地方で特産品開発に取り組みたいと考えていた人、東紀州の食文化に可能性を感じていた人へ。

実際の業務内容は総務課や商工会議所の人たちと話していくことになるが、目標は「東紀州の特産品を届けて食べていける人」になること。

御浜町としてはまだまだ道が見えていませんが、発信の方法はWEBでの発信などは問いません。

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*ありがとうございます。こちらの求人は募集終了いたしました。(2017/10/6)

<御浜町とは>

御浜町のキャッチコピーは「年中みかんのとれるまち」。温暖な気候と、なだらかな地形のもと、年間30種類のみかんや南高梅がとれます。

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県別のみかん生産量で見れば、三重はトップ10圏外。ですが、御浜町はセミノール、せとか、春光柑(しゅんこうかん)、ハウス栽培のぽんかん、マイヤーレモン。一年を通して高級品種に力を入れています。

<地域おこし協力隊とは>

今回は、総務省の制度「地域おこし協力隊」としての採用になります。期間は最長3年間。報酬及び活動費が支給されます。2012年に始まった制度は広がりを見せ、現在は日本全国で約4,000人が活動しています。

2017年度より、御浜町では3人の地域おこし協力隊が活動中。9月からは、あらたに一人が加わります。今回は、町全体として5人目の募集となります。

<ふるさと納税とは>

ふるさと納税とは、応援したい自治体のまちづくりに寄付ができる制度です。人口の偏りにともない、大都市と地方間の税収格差が拡大する中、2008年に始まりました。2016年度の寄付総額は2,800億円。寄付者にとっては、「寄付額から2,000円を引いた額が税控除となる」、「(自治体によっては)寄付への返礼品が送られる」という利点があります。

<御浜町を訪ねる>

今回は、受入事業者であるみえ熊野古道商工会・御浜支所常務の九重地康之(くじゅうじ やすゆき)さんと募集主体である御浜町役場・総務課の南紀子(みなみ のりこ)さんを訪ねました。

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南さん、ふるさと納税の現状を教えてください。

「御浜町では、2008年からふるさと納税の寄付を。2015年から返礼品をはじめました。2016年は2,056人から3,000万円超の寄付が集まりました。2017年度は、7月末時点で695人の寄付をいただいています」

南さんは、地域おこし協力隊の制度を活用することで、御浜町のふるさと納税を加速させたいと考えている。それは寄付額を増やすことはもちろん、こうした思いもある。

「ふるさと納税を通して、御浜町いいねと思う人が増えたらと思うんです」

きっかけはイベント出展。南さんは、ふるさと納税のPRのため、東京“三重テラス”や“東京ビッグサイト”、それから三重県津市の“道の駅かわげ”や、桑名市の“ジャズドリーム長島”でのイベントに出展する中で、こう感じた。

「『伊勢神宮へ行ったよ』という人はいても、東紀州へ足を運んだことのある人にはなかなか出会えなかったんです」

「今、御浜町では4人の地域おこし協力隊が活動して、移住定住や観光といった関係人口を増やすことに取り組んでいます。御浜町のファンを増やすという点では、ふるさと納税も重なると思うんです」

ふるさと納税をとりまく業務には、事務処理から返礼品の発掘、PRまで幅広い仕事がある。今回募集する方に期待したいのは、地域の事業者さんを訪ね、返礼品発掘、特産品開発、そしてPRの点だ。

実は…と南さん。

「今は、みかん、梅干し、干物、伊勢海老、紀州岩清水豚などを返礼品として揃えています。中でも梅干しが一番人気なんです。3kg樽の梅干しを、5回も希望する方もいるぐらいです。“みかん押し”で考えていたわたしたちにとっては、目からウロコだったんですね。他にも自分たちが気づけかない価値があると思うんです」

一方で特産品開発は激戦区。日本全国で20,000〜30,000点の特産品が開発されるとも言われる。そうした中御浜町では、どんな展開が考えられるのだろう。

「新たなファンに出会うには、観光とも結びつけていきたいと思うんです」と南さん。

ここで、「もう一つ大切にしてほしいことがあるんです」と商工会の九重地常務。

「ふるさと納税を通して、地元を離れている人との関わりをもう一度持てたらとも思うんです」

日本全国には御浜町を離れて久しい人もいるという。具体的なアイデアとしては、寄付をいただく人への返礼品として“墓守”や“草刈り”を検討しているという。

今回募集する人は、みえ熊野古道商工会・御浜支所に机を置くこととなる。地域の事業者さんとの連携を促進する意味合いからも。この場所を拠点に、けれどもどんどん町内外を駆け回ってほしいと考えている。

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周囲にはどんな事業者さんがいるのだろうか。ここからは、ふるさと納税に参加する事業者さんを訪ねます。

<市木木綿小座布団・向井ふとん店>

「今、手作り布団を自分で仕立てるふとん屋が少なくなってきています。(中略)ですが当店にお買い求めにこられたお客様の布団を、自分たちの手で作る。(中略)私にとっては、効率とかには代えられない、ふとん屋として、ゆずれない事です」

2017年7月に、発行10年目を迎えた“向井ふとん店てくてく通信”。その中に、こんな一節がある。

熊野市の向井ふとん店に、3代目・向井浩高(むかい ひろたか)さんを訪ねた。

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「御浜町の織元から市木木綿を仕入れ、布団や座布団をつくってきたんです」

かつて御浜町の下市木地区には、45軒の織元(おりもと)があったそう。2004年、高齢化のため工房をたたむという織元から、向井さんは工房をお借りした。市木木綿を引き継がせていただくことに。

ふとん店の休業日であった日曜日に、織機を動かしはじめて13年になる。

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市木木綿の特徴は、やさしい風合い。手で引っ張るとぷつっと切れてしまう単糸(たんし)をつかうことで、通気性に優れ、肌によくなじむ。「犬が、かならず座布団の上で眠るんです」。数人のお客さんからそんな声も聞いたそう。二枚目を購入する方もいるとか。

ふるさと納税の返礼品は、市木木綿の小座布団。

「すっと差し出すだけで、もてなしになるんです」

向井さんは、和室に限らず、フローリングにも合わせてほしいという。

「ソファーがあるのに、床に座ることはありませんか?そのほうが落ち着くんでしょうね。海外の方が、椅子の背もたれにあてることもありますよ」

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娘と息子に食べさせたいマイヤーレモンを届ける・たかみ農園の田中高美さん

私、バカなんです!あまり大きな声では言えませんが、私バカなんです。それも底抜けのバカなんです。だから、あまりあれこれとは考えられません。私が心がけているのはただ一つだけです。『自分の娘と息子が皮ごと丸かじりしても安心なマイヤーレモンをつくる』。それだけを考えてマイヤーレモンを育てています」

御浜町・柿原地区のマイヤーレモン畑に、たかみ農園・田中高美(たなか たかみ)さんを訪ねた。

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出身は兵庫県。26歳で三重県御浜町へ移った。妻の実家である上森農機で働いたのち、32歳のとき、1haの畑でマイヤーレモンの生産をはじめた。

マイヤーレモンとは、オレンジとレモンの自然交雑により生まれた柑橘。収穫時期により、味覚が変化していく特徴を持つ。10月上旬から12月上旬にかけては、香りと酸味の高い緑色の実が収穫される。12月上旬から2月にかけては、糖度が増した黄色の実が収穫される。

もともと農業をやるつもりはなかったと話す高美さん。農機具修理や肥料農薬の販売を通して、みかん農家と話す日々を過ごしていた。

「『農業ではもうからん』『いいものをつくっても卸値が上がらん』という声をたびたび聞いたんですね。ちゃんとやったらもうかるやろ、と思ったんです。『よしこれやったろ』と」

たかみ農園では、農薬を7割減にて育てている。その理由は冒頭にある通り、子どもたちに安心して食べてほしいから。

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実は、マイヤーレモンの生産量は三重県が全国1位。紀宝町と御浜町が、2006年より全国に先がけて生産を開始してきたからだ。

高美さんには「豊かに暮らせる農業」という目標がある。減農薬に取組む高美さんのマイヤーレモンは、2016年度に完売御礼。個人で見れば、事業は軌道に乗りはじめた。続く担い手が現れるには、販路開拓と高価値化が課題。

広島県を中心とした瀬戸内レモンに比べると、マイヤーレモンの知名度は低い。より多くの人に知ってもらうため、高美さんはふるさと納税への出品を決めた。

2016年度は、加工品(果汁、ドライフルーツ、ポン酢)を返礼品にしたものの、寄付者からの希望はなかった。そこで2017年度は、生の果実と加工品をセットに。その効果もあってか、返礼品の希望が入りはじめている。

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最後に、高美さんから見た御浜町は、どんなところだろうか。

「御浜町は小さなまち。隣り近所と、手をとり合っていかな!東紀州全体でやってきたいと思うんです」

すでに高美さんは動きだしている。8/19には実行委員長を務めるイベント“わがらフェス2017”が行われた。会場で提供するチューハイを、東紀州産かんきつ味に限定。地元の人に、地元の食を知ってほしいと思った。和歌山県北山村のじゃばら、三重県熊野市の新姫(にいひめ)、御浜町のポンカン、そしてたかみ農園のマイヤーレモン。

<御浜町で、協力隊はじめてみませんか>

記事の中で伝えられたことは、東紀州のごくごく一部です。

向井さんや高美さん、そしてまだ出会っていないこのまちに暮らす人たちと、仕事づくりに取り組んでいきませんか。

興味を持った方は、一度連絡を!御浜町には町内、そして東紀州を巡るための滞在拠点“ウェルカムハウス”があります。自分の目で確かめることをおすすめします。

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*ありがとうございます。こちらの求人は募集終了いたしました。(2017/10/6)

(写真と文・大越元)

<実は縁のある、御浜町>

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